東海大学観光学部観光学科 田中伸彦ゼミ

2012年4月 田中ゼミがスタートしました。 2013年3月にホームページをアップしました。

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「観光学」を学ぶ人のための「レジャー論」(その4) エンデの『モモ』を読もう

「観光学」を学ぶ人のための「レジャー論」(その4) エンデの『モモ』を読もう

「学問はファンタジーには勝てない」
細々とではあるが、四半世紀学問に携わってきた訳であるが、一貫して上記の様に感じている。
学問を通じて何かを理解しても、必ずしもそれがその人の身についているとは限らない。しかしファンタジーを通じて何かを悟った人は、道を踏み外すことが非常に少ない。それを忘れてしまうことはまずないのである。

レジャー論においてもそれは当てはまる。私自身はアリストテレスのレジャー論やピーパーの「余暇と祝祭」論、鈴木正三の職業倫理など、レジャーや労働に係る各種学説などを読むとワクワクするのであるが、大半の人は眠くなるのがオチであろう。

その様な中で、目の前にいる200人の学生に「お勧めのレジャー論の教科書は?」と質問された場合、私は学術書や論文ではなくミヒャエル・エンデの『モモ』を推薦すると思う。
『モモ』は3部作21章の児童向けの長編物語である。ストーリーは各自読んで頂きたい。私が『モモ』をレジャー論のテキストとして推薦するのは、第1部の「モモとその友だち」で「レジャーの本質」を、第2部の「灰色の男たち」では「現代社会の本質」を、そして第3部の「<時間の花>」では「人生における時間とは?」『資本主義と効率主義は人間を幸福にするのか?」ということを考えさせてくれるからである。
この様な難しい課題を児童向けの文学書としてワクワクドキドキする筆致でまとめているエンデ氏と訳者の大島氏には脱帽である。この様にして身にしみたレジャー観は「けっしてぬけない鉤針のように心にしっかりくいこん」で来ること間違いないと思う。

是非、学生のうちに一度読み、そして社会人になってから再び読み返して頂きたい。

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