東海大学観光学部観光学科 田中伸彦ゼミ

2012年4月 田中ゼミがスタートしました。 2013年3月にホームページをアップしました。

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16日

「観光学」って何をしているの?(1) 観光学が理解されにくいわけ

今は春休み。大学院に進学希望ではない3年生は、連日就職活動の説明会や面接で跳びまわっている。

何十社にもエントリーシートを出したところで、最終的には1つの会社にしか就職できないでのであるから、大いなる無駄な活動であることは間違いない。人生は80年。その80年のうちでも、20代前半という心身ともに充実した時間をこのような活動に充てさせるのは何とも忍びない。
同じ時間を使って旅に出た方が、人生としては充実する。戦後生まれの昭和の大学生は、そのような旅を経験して自律力を高めていった。かくいう私もその1人である。学生時代に、バックパック1つでシベリア鉄道に乗り、ヨーロッパ各地を転々とした経験は、現在でも自分の人生の方向を判断する際に大いに役立っている。

企業にとっても、就活は手間のかかる作業であろう。それ自体利益の上がる活動ではないし、セレクションにかけた効果は不鮮明。採用担当者だってそんなに立派な人ばかりではないだろうから、採るべき学生を落とし、そうでない学生に内定を出すことも少なくないであろう。
このような活動に、無駄に時間をかけることを厭わないのであるから、日本の企業の経営効率が、他国と比べてさほど高くないことも頷ける。就活に時間をかけても、報われることは少ない。効率的・合理的かつ楽にセレクションは行う方法を見いだしたほうが良い。

さて、前置きが長くなってしまった。
上記のタイトルでブログを書こうと思ったきっかけは、そのような就活のまっただ中に放り込まれている学生たちから「観光学って何をしているの?」と面接で聞かれた場合、どう答えれば良いのか困ったと何度も耳にしたことにある。
確かに観光学をショートコメントで説明することは難しい。その理由はには、いくつかある。

思いつくままに挙げるだけでも、
1. 「観光学部」は近年急増したので、多くの採用担当者が、学部に対する前提知識を持ち合わせていない点
2. 「観光学」は学際的で、文系理系の垣根を越えた全方位の教養が求められる点。言わば「教養学の実学版」であるという点
3. 「観光学」は「領域学」で、1つのディシプリン(学問の基盤となる原理)で説明できない点。
さらにいえば、戦前我が国の観光学を牽引してきた造園学や森林学にしても、戦後観光分野で台頭してきた経営学にしても、それらの学問自体が、そもそも1つのディシプリンで説明できない学際分野で、それらを基盤に発展した観光学は「メタ」学際分野に位置づけられる点。
4. 「観光学=旅行業」と勘違いしている人が多い点
5. 「観光学」に関係する業種・業態が多岐にわたり、就職先も多様である点
6. 「観光は学問ではなく経験だ」と信じ、学問の重要性をいぶかしむ業界人が多い点
7. 新設学部・学科の多い日本の観光系大学の中には、元々観光学を専門にしていない教員が配属されることも少なくなく、結果学生が何を学んでいるのか理解できなくなる点
8. そもそも日本の「観光学」の水準が、国際的には高いとはいえない点
などがあげられる。

まあ、就活面接で自分の学部の説明に窮するというのは、何も観光学部の学生に限ったことではないだろう。
20年ほど前から、大学の学部学科名の基準が緩和されてから、1回聞いただけでは何をやっているのか正体不明な学部名が急増した。カタカナばかりの「キラキラネーム」学部も珍しくはない。学部ではないが、専攻コース名に顔文字(^^)が入っている大学まで登場している。ここまで来ると私の常識では説明しきれない。
そういう意味では、「観光学」を名乗る学科は50年近く前から存在していたし、「観光」という言葉そのものは人口に膾炙しているので、ましなほうであろう。
色々ご託を並べたが、「観光学」の説明に窮している学生がいることは、紛れもない事実である。

次回以降で、このテーマについて少しずつ解説していきたいと思う。

【速報】「旅行商品企画コンペ in 香取」で山田貴志さんたちのグループが入賞しました(2013年3月16日発信)

千葉県香取市が行った標記コンペに、本学観光学部の岡山奈央さんと金子健人さんと一緒に、グループで応募した田中ゼミの山田貴志さんの企画案が「アイデア賞」を獲得しました。

企画案のタイトルは「欧州一流料理人のため日本 欧州一流料理人のため日本 でしか手に入らない『味』を探す旅」です。

 

おめでとうございます!

詳しくは、香取市プレスリリース(2013年3月12日)を参照ください。