問1:観光学部生は、なぜパーク論を学ばなければいけないのであろうか?
問2:ところでパークっていったい何なのだろうか?
この講義を受講する学生は、何はともあれ、まず上記の問いに答えられるようになってほしい。
はじめの問いについての答えは「パーク(公園)」は、多くの観光客が訪れるデスティネーションであるからである。言わずと知れたテーマパークである東京ディズニーリゾートには年間2700万人あまりの入園者があることは、観光学の学生なら結構知っているのではないかと思う。実は、日本の自然公園にはそれを圧倒的にしのぐ9億人ほどの入り込み者が毎年あるのである。国立公園に限っても3億5000万人から4億人程度ある。環境省は実は国内で最も巨大なパーク管理者であると言える。
2つめの問いの答えは、下記の通りである。
「公衆のために設けた庭園または遊園地。法制上は、国・地方公共団体の営造物としての公園(都市公園など)と、風致景観を維持するため一定の区域を指定し区域内で種々の規制が加えられる公園(自然公園)とがある。 (広辞苑より)」
要するに、庭園、遊園地(テーマパークを含む)、都市公園、自然公園の4種類がある。ただし、プライベートな庭園や遊園地は公園の範疇に入らない。(プライベートな遊園地などないと思う人もいるかもしれないが、生前のマイケル・ジャクソンはプライベートの遊園地をつくっていましたね。)
観光学部の学生は、この4種類のパーク(公園)を満遍なく学ばなければならない。竜安寺の石庭、ベルサイユ宮殿、USJ、ニューヨーク・セントラルパーク、イエローストーン国立公園...どれも世界各国から観光客を集める国際観光デスティネーションである。これらすべてを満遍なく学ぶ講義科目は、実のところ国内にはあまり存在しない。自然公園だけ、テーマパークだけを教える科目は国内にいくつも存在する。しかしそれでは観光学の科目としては不十分なのである。そういう思いで、この講義は構成されている。上記に挙げたパーク(公園)の共通点は何か、また観光学部生が覚えるポイントは何かを的確につかんでほしい。
観光学部の学生の大半は自然公園のレンジャーを目指さない。テーマパークのイマジニアにもならない。作庭師になる確率はほぼゼロであろう。しかし、観光学を修めたからには、これらの人と仕事の話ができる知識とセンスは身につけてほしい。
その様なスタンスでこの講義は構成されているのである。